金物工法特集
金物工法が再び増加傾向にある。新設住宅着工が回復基調にあるなかで、金物工法を採用する住宅会社が増加しているためだ。東日本大震災以降、耐震性に関する関心が高まり、金物工法を採用するところが増加し、非住宅木造建築の物件が増加していることも金物工法の普及に貢献している。 金物工法を使用した建築システムが進化を遂げる一方で、金物そのものの規格も整備されてきた。テックワンなどの梁受け金物とはやや位置付けが異なるが、住木センターのZマークなどの認定金物も耐久性を担保するための表面処理の規格が制定され、12年10月から施行された。
「SSマルチ」が月間200棟規模に拡大
タナカ(茨城県土浦市、田中司郎社長)の金物工法「SSマルチ」は2010年6月の発売開始から2年足らずで、供給棟数は月間200棟ペースに伸びている。金物工法としては後発だが、コスト競争力や施工性が評価され、ほかの金物工法や在来工法からの切り替え、通し柱のみの採用など様々な需要を開拓している。
廉価なプレセッターが4月に登場
カネシン(東京都、吉田孝志社長)の金物工法「プレセッター」は、スピーディな施工と強靭な構造接合を実現する。4月には新しいプレセッターが新たに登場する。従来の販売価格より安く、より使いやすくなった「プレセッターSU」を開発した。
地震に強いテックワン
タツミ(新潟県見附市、山口紳一郎社長)の「テックワン」は住宅耐震性に威力を発揮し、金物工法でシェア№1の実績を誇る。同社は、総合建材メーカーの岡部や新日本鐡住金と業務提携しており、テックワンP3やスマートビーム工法といった新商品の開発を行っている。
防錆のデュラルコート供給拡大
カナイ(埼玉県八潮市、金井亮太社長)のデュラージョイントは、国産材に対応した金物工法だ。デュラージョイントは、クロムフリーや長期間耐久性がある防錆処理を施したデュラルコートをすべての金物に採用している。
アコーディの進化型開発中
岡部(東京都、松本憲昭社長)は、大地震などによる木造住宅が大変形しても倒壊を防げる「アコーディ」を発売している。アコーディはステンレス製の金物で、柱-梁、柱-土台などの接合部に施工することで住宅の倒壊を遅らせるものだ。
ライン増設し加工対応を強化
サンクレテック(千葉県袖ケ浦市、佐藤彰社長)は、自社工場のプレカットラインを増設し、オリジナル金物であるツイステックの加工対応を強化した。これまでは加工が間に合わず、新規の営業ができなかったが、加工能力が従来の月産6000坪から1万坪近くまで引き上がったことで、新規開拓が可能になった。
信頼性認知で需要拡大
すてきナイスグループの木造軸組建築関連会社、パワービルド(京都市、勝間田清敏社長)の13年3月期供給棟数は、木造軸組戸建て住宅のパワーホーム、東北の大震災の復興を目指し開発された長期優良住宅フェニーチェホーム、他取引先販売を含め前期比20%幅の増加を見込む。
T字型の梁受け金物
東海地区の大手プレカット事業者のスカイ(静岡県磐田市、高橋幸嗣社長)は、梁受け部などの仕口欠損問題に対応する金物として、オリジナル梁受け金物「スカイジョイント」を展開している。
ムク材現し工法に対応
ウッドワイステクノロジー(静岡県浜松市、齋藤幹一郎社長)は、ムク材対応の木造接合金物である「ウッドテック」と、工法として金物+落とし込み間仕切りパネルを使う「TERRA(テラ)構造」、ラーメン構造の「ウッドワイスラーメン構法」を展開している。
明確な数値データを提示
三井住商建材(東京都、高光克典社長)木構造建築部は、工法として金物利用を提案している。主力は、柱や梁に内蔵した鉄筋をエポキシ樹脂で固め、2方向ラーメンを実現したサミットHR工法で、空間設計を制約しないことを大きな特徴とする。
HSSフレームシステムの採用増
金物工法大手のグランドワークス(富山県滑川市、大倉憲峰社長)は、HSSフレームシステムを主体に供給している。同社は金物工法の開発を通じて、取引先が仕事を取りやすくなるような商品開発を念頭に置き、「取引先からあてにされる商品、頼りにされる商品」を提供する会社を目指してきた。
羽柄材加工の受注増える
カナモク(神奈川県座間市、小栗利夫社長)が、エヌ・シー・エヌのSE構法に使用する住宅部材のプレカット加工を始めて今年で17年目になる。同社は全国7カ所あるSE構法部材加工工場の1つだが、SE構法専門は同社だけで、東京、埼玉、静岡などのエリアで受注した物件を加工している。
防錆など品質の信頼性が強み
エア・ウォーター・マッハ(長野県松本市)は今春、主にデッキやベランダに対応した傾斜鋼製束を発売する予定だ。同製品は多様な屋外環境で長期間使用しても影響を受けにくいラスパート処理(セラミックコーティング)を施し、優れた防錆性能を持つ。
水使わず金物と相性良く
ザイエンス(東京都、田中孝行社長)が開発したOP保存処理木材製品の生産比率が、同社保存処理木材製品生産の60%近くまで急上昇してきた。同製品は、水を使用しない乾式処理のため、木材寸法精度に優れ、保存処理後の含水率調整や寸法再調整が不要で、特にKD構造用製材や構造用集成材に適している。
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