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 No.2030号

木材業界のIT活用を見る

業務効率化や受発注合理化に

木材・建材業界は、IT化が遅れた業界だ。それは、中小・零細な事業者が家業的な経営で事業を行っていることが多く、組織的な事業経営を行っている会社が多くはないという現実がある。

 例えば受発注業務をFAXに依存するとこは未だに多く、それは発注業務システムを導入しても、納期確定に時間が掛かり、オンラインで業務が完結しないことも理由のひとつだ。

また、メーカーが独自の発注システムを持っていたり、大手問屋も独自の発注システムがあるなど、同じようなシステムがそれぞれにあり、業界としての標準システムが確立できていない。

 住宅生産現場の効率化を図るため、現場工事をWEBカメラで中継して管理し、工程に合わせた納材や、納入・工事の進捗に合わせて出来高で資金を支払う仕組みも導入されたが、普及はしていない。

 しかし、コンピューターの性能向上、情報端末の進化は急速で、スマートフォンやタブレット端末の普及で、現場で高性能な通信端末が使える環境は整っている。スマホについては、現場の職人にも普及しており、画像データの送受信も容易になった。

 課題は、「IT関連システムに投資をしたら、他の業界は業務効率が急速に高まり、投資費用を償却したあとは、利益率が高まるものだが、木材・建材業界では必ずしもそうではない」(システム関係者)。その一方で人材不足で業務の効率化は不可避の状況が予想され、限られた人数で効率的な業務をこなしていくことが求められている。

 これは、木材建材流通だけでなく、林業の素材生産から製材、加工などの工程や森林管理、建築現場の工程管理、物流・在庫管理、履歴情報など多岐に渡る。業界全体で、IT化を推進し、業務効率を高めることが産業としての競争力を高めることにもつながる。

 ウッドインフォ、晃洋設計測量、日新SCMソリューション、宮川工機、山長商店、スカイ、ウッドワン、住友林業、ナカザワ建販、コンピューターシステム研究所、ケンチルなどを取り上げた。

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