市況
住宅需要がやっと上向く
資材需給も穏やかに改善
木材市況はようやく底打値圏に入った。合板はメーカーの減産の足並みがそろい、メーカーが強気姿勢を崩さないことから反発局面を迎えた。構造用合板の相場が強含んでおり、針葉樹構造用合板は7月末には800円水準まで回復、一部のメーカーは850円を唱えている。このままの状態で需要が盛り上がってくれば、価格はジリ高傾向を続けそうだ。
需要面では住宅着工が4カ月連続で増加し、1~6月の累計でも44万607戸(前年同期比1.1%増)と前年水準を超えてきた。着工をけん引しているのはマンションで、6月は1万4,173戸(前年同月比82.8%増)と倍増した。持ち家も2万6,643戸(同7.2%増)と回復、戸建て分譲住宅は1万1,160戸(同2.9%減)とまだ前年水準には達しないものの、土地の手当てを急ぐところも出始めてきている。
大手ハウスメーカーの受注は前年比で増加しており、プレカット工場の稼働も大手中心だが、忙しさを増してきている。目先は悪天候による現場の遅れが目立ち、需要の台頭は感じにくいが、「受注残が注意水準まで上がってきたので、提携工場に加工の外注を再開した」(大手プレカット会社)というように、次第に忙しさが広がっていきそうだ。
供給面ではWウッド間柱の供給が少なく、市場には不足感が出ている。しかし、量的なものは杉で代替可能なことから、杉間柱の需要が増加し、1,000円(㎥)値上がり。Wウッドの品不足で、杉に需要がシフトし始めているようだ。柱もWウッド集成管柱が1,800円(本)で底入れか。しかし、メーカーは。値上げの動きはみられない。杉KD柱材や杉集成管柱の安値があり、相場は簡単には上がらない。
横架材も米松KD平角とRウッド集成平角の価格差がほとんどなくなってきていている。円安に加え、米松丸太の産地価格が2カ月連続で値上がり。国内メーカーの製材コストも上昇傾向にあり、中国木材の今後の価格動向に注目が集まる。ただRウッド集成平角との価格差がほとんどないことから値上げには動きにくいところだ。
市況の足かせになっているのは、国産材製品。需要が低迷し価格も競合する外材や構造用集成材との価格差で割安感があってもなかなか需要者に選んでもらえない状態が続いていた。桧土台が米ツガ注入土台より安値になってきて、ようやく需要も底打ち感が出ている。杉KD柱や杉間柱も、まだ需要回復には至らない。
これからの木材・建材の市況を展望した。
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