土台市場の変化
KD、集成化時代で変貌
米ツガ注入材一辺倒から多様化
木造住宅に使用される土台(2×4工法、木質プレハブ工法を含む)の需要規模は、新設木造住宅着工量で異なるが、一般的に1棟当たり20~22本、大引を含まず1㎥前後使用されることから、近年の新設木造住宅着工戸数から推定して年間50万㎥前後の需要規模と考えられる。防腐・防蟻処理土台製造大手は、このうち、防腐・防蟻処理された土台が20万㎥、処理されていない土台が30万㎥と推定する。
木造住宅土台に供給される樹種は多様化している。かつては米ツガ注入土台(グリン)が圧倒的なシェアを占め、桧、米ヒバ、カラ松なども使用された。米ツガ注入土台以前は桧を中心に、地域性を反映してケヤキやクリ、青森ヒバ、能登ヒバ、杉赤身、米桧、アピトンなども土台用材として使われた。特に米ツガ注入土台は高度成長期の住宅需要拡大に呼応、防腐・防蟻処理メーカーも、それまでの主力事業であった電柱や枕木がコンクリートに移行するなかで、本格的な建築材市場への参入となり、おう盛な住宅用土台需要を背景に業容を拡大していった。米ツガ注入土台は米加産米ツガ丸太挽き製材、その後の米加産米ツガ小角の日本向け大量供給につながる。
土台の樹材種多様化が一気に進み始める契機となったのは、品確法に代表される住宅性能への客観的数値化以降だ。土台のEW化に向けた動きは緩慢であったが、機械プレカット加工が構造材流通の大半を占めるに至り、遅れていた住宅土台もKD・集成材化が本格化する。米ツガ注入土台(グリン)の衰退はこうした時代情勢変化に加え、1990年代のBC州産米ツガ小角産地価格高騰が影響、国内の米ツガ注入土台メーカーがコスト高を吸収しきれず、準大手・中堅メーカーの撤退、経営破綻を加速した。
KD・集成材化に伴い防腐・防蟻処理不要樹種では桧、米ヒバKD・集成材が大半を占める。米ヒバKD・集成土台は供給が大手1社に限定されるが、桧KD土台は量産製材工場が多数台頭し、現在、最も供給比率の高い樹種だ。土台市場の変遷と現在の市場動向をまとめた。
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