木質ペレットの可能性
欧米で市場拡大、日本は伸び悩み
木質ペレットは品質規格が定まっており、寸法、含水率、含有物質(硫黄等)、発熱量などが明確になっており、ペレット利用機器(ボイラー、ストーブ)との適正が分かり易くなっている。
ペレットの長所は、形状や含水率(水分率)が安定しているため利用しやすいこと、燃料効率に優れ、エネルギー効率が高いこと(発熱量は約4,000kcal/㌔)で、逆に短所は燃料単価が高く、高湿度で保管すると型崩れしやすく粉状になることが挙げられる。
2012年の国産木質ペレット生産量は9万8,184㌧(速報値)で前年比25.5%増。その92%は燃料用で、工業用6%、農業用が微量でほとんどが産業用と民生用の燃料として利用されている。生産量は03年が4,000㌧、05年が8,700㌧、10年が5万8,200㌧と右肩上がりで増えたが、12年の工場数は109カ所で、前年から1工場増えたにとどまる。
一方、13年の木質ペレット輸入量は8万3,769㌧で、前年比16.4%増。86%はカナダ産で、中国産6%、ベトナム産4%などとなっている。内外産を合わせた日本のペレット市場規模は年間18万㌧前後と推計される。
国内のペレット需要者は、産業用の大口需要で関西電力舞鶴発電所などの火力発電所、小規模分散型ではホテルや温泉施設、温水プールなどの加温、民生用は一般住宅のストーブなどだ。農業利用ではペレット利用の可能性がある。現状はビニールハウス等の温度管理は重油焚きが主流だが、石油価格上昇で燃料費のしわ寄せがあり、ここにバイオマス利用を働き掛ける動きがある。ただ、木質チップでは詰まりや温度調整が自動化しづらく、ペレットに着目して、小型で安価なボイラー開発に期待感が出ている。
特集では日本国内の供給、需要者動向と欧米の状況などを取り上げた。
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