変わる素材流通 原木市場(いちば)
求められる選別、需給調整機能
素材供給増で、役目重大
国産材の素材需給が拡大し、木材自給率50%に向けて様々な施策が実施されていくなかで原木市場の機能が変化してきた。林野庁の新生産システムの補助事業がその端的なものだが、木材加工工場が森林組合などの素材生産者と協定取引をして、大量の原木を市場を通さず安定的に流通させようという取り組みが行われ、原木市場は流通経路の複雑化やコスト上昇要因として見られてきた。
各地に国産材素材を消費する大型工場が建設され、安定的に大量の素材を必要とするようになり、協和木材の事例のように木材加工事業体が立木買いを行い、自ら素材生産することで安定した量を確保しようという動きがある。大型工場に伐採現場やその近くの中間土場から大型トレーラーで直送するという取り組みも目立ってきた。
今後も国産材素材の供給拡大に向けた行政の施策が実施されていく可能性が高い。そのなかで、素材生産者と需要者を結びつけ、仕分け、需給調整する機能を原木市場が担っていく必要がある。間伐補助の直接支払い制度など、マーケットを無視した素材生産拡大は、それにかかわる業者の体力を奪うだけで、安価になった国産材を大量に消費する大型製材工場などが素材価格の下落により製品価格を引き下げて外材に対抗しても、補助金が切れた時に破たんする可能性もある。新たな需要を創造しながらの素材生産拡大でないと意味がなく、需給調整、仕分け機能を持つ原木市場が存在することで、中小の製材工場も素材の仕入れや付加価値製材に取り組める。そのことから、大量消費型の需要開拓ばかりを急ぐことに危惧を覚える。
各地の原木市場、森林組合の共販などをレポートした。全国の63市場のデータも掲載した。
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