80万戸時代のプレカット
寡占・グループ化が進み競争激化
人手不足、環境配慮し加工分野広がる
プレカットは今、大きな転機を迎えようとしている。プレカットは当初、大工技能者不足への対応としてドリル、角ノミ、溝切り、ルーターなどの電動工具をベースに開発が始まり、1970年頃にホゾ取り盤をベースに刃物交換で蟻、鎌などの加工形状に対応できる機械が製作された。73年には単能機をライン化したプレカット工場が登場した。当時は大工の仕事を奪うものとして現場の反発を受け、普及には時間を要したが、82年頃にはCAD/CAM型のラインが開発され、90年代には木材販売の有効な手段としてプレカットが発展、普及してきた。
プレカット工場数は98年頃の約900工場をピークに減少に向かい、現在は600工場を割り込んでいるものと見られる。プレカット率については98年頃は45%程度だったものが、現在では90%を超えているとみられ、普及率は上限近くに達している。そのうちクレテックなどの金物工法の割合は3割を超えてきているとみられる。
最近の傾向は、大手集約化の流れが加速していることだ。日刊木材新聞が昨年全国の大手プレカット工場にアンケート調査を行ったところ年間加工実績で20万坪を超える大手はポラテック、テクノウッドワークス、中国木材、ハイビックの4社がある。今年は中堅工場の設備更新も活発だが、更新による加工精度の向上や加工範囲の拡大などを目的としたものが主で、生産規模の拡大を目指したものは少ない。半面、ポラテック、テクノウッドワークスの大手2社は積極的な設備投資を展開している。ポラテックは仙台、富士(静岡)の2工場を近く着工するなど大手のされなる拡大が続きそうだ。
羽柄材プレカットの採用率も高まり構造材、羽柄材、合板加工まで行う工場が増えている。これから増加しそうなのがサイディングプレカットの分野で、エスピー技建(愛媛県松山市、山本守厚社長)のサイディングプレカットのシステムを導入する企業が7社、さらに4社が導入に向けて動き出し、3月に全国サイディングプレカット協議会(仮称)の設立を計画している。イシハラ(愛知県豊橋市、石原成哲社長)が中心になって進めているREGプレカット協議会も今年設立が計画されており、2団体によるサイディングプレカットの普及に向けた取り組みが本格化する。
今回は、プレカットの加工範囲の拡大など周辺事業への展開をまとめた。
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