合板の日【メーカー編】
今でいう合板のような資材は、古代エジプト文明の出土品からも見つけられるほど人類の営みと古くかかわってきた。薄くした単板を木材繊維方向で直交に重ね、接着剤で張り合わせるという合板は、周知のとおり現在においても国内外建築物などに幅広く活用されている。日本における合板工業の起こりは、1907(明治40)年に名古屋の浅野吉次郎氏がブナ丸太の切削に成功した時と位置付けられている。同年11月3日が日本で最初に合板を製造したとされる日で、合板業界はこの日を「合板の日」に制定することで、新たな合板産業の歴史を刻むことになった。
第2工場、非構造用化ほぼ完了
丸玉産業(北海道網走郡、大越敏弘社長)が進めている第2工場の非構造用合板化がほぼ完了した。同社はトド松、カラ松を原料に第1、第2工場でそれぞれ月間8000立方㍍の合板生産能力を持つ。第1工場は全て構造用で8000立方㍍をフル生産するが、第2工場は構造用から徐々に非構造用化を進め、現在、非構造用合板が5500立方㍍、構造用合板が1000立方㍍となった。
構造用、震災前の数量に近付く
セイホク(東京都、井上篤博社長)、西北プライウッド(同)の13年における予想合板生産量は36万5000立方㍍と、震災前の水準(月産3万2000立方㍍)に近づく勢いで増加している。
生産効率向上で増産体制整備
国産材使用率約95%を誇るホクヨープライウッド(東京都、井上篤博社長)は東日本大震災被災後、着実に構造用合板の生産量を回復させ、非構造用合板の生産体制も再整備を進めている。
国産材使用量が昨年比で30%増
日本一の生産規模を誇る秋田プライウッド(東京都、井上篤博社長)は、構造用合板で安定供給を続け非構造用合板の規模拡大を図っている。
「森のヒノキ」シリーズを拡充
森の合板協同組合(岐阜県中津川市、井上篤博代表理事)は国産材100%の合板製造を進めており、主体の針葉樹構造用合板にとどまらず、地域資源である桧材を使った内装・家具向け、型枠用といった付加価値のある桧合板の開発と普及に取り組んでいる。
乾燥で効率上がる
松江エヌエル工業(島根県松江市、村山智彬社長)の原木消費量は15万6000立方㍍。うち、国産材は8万9000立方㍍。樹種の割合は杉80%、桧・松10%等。アカ松が減る傾向。外材はロシア材が入りづらくなり、米材50%、カナダ材40%等の割合で6万7000立方㍍。山陰地方は国産材が集まりづらい地域であり、現状も丸太在庫は不足気味。国産材の取り扱いは増えているが供給確保を維持する点で、米材を重視している。
九州の新需要伸び増産へ
新栄合板工業(熊本県水俣市、尾崎公一社長)の原木消費量は年間約22万立方㍍で、国産材使用比率は8割に達している。また早くから国産材を使用した針葉樹構造用合板の開発、普及に取り組んできたことが評価され、今年度の「木づかい運動顕彰」の大規模国産材利用部門で農林水産大臣感謝状を受章した。
国産材LVL採用、大型倉庫完成
日新グループ(又賀航一代表)は、国産材の活用とともに生産の効率化、コスト削減に向けて開発を進める方針だ。「合板はまだまだ完成されておらず、常に技術革新とリノベーションを目指す」(又賀代表)と話す。
国産材の需要拡大で被災設備更新
石巻合板工業(宮城県石巻市、野田四郎社長)は、大震災で被災後約半年で工場稼働を再開させ、12年4月には震災前の水準まで生産・販売量を回復させたが、工場設備関係のは現在でも100%復旧となってはいない。12年は合板市場で続いた旺盛な出荷量に合わせて機械の生産効率を高め、10年比で5%増を達成。特に12年12月~13年2月は前年比10%増で推移した。
化粧合板の台板で存在感
大新合板工業(新潟市、河野誠一社長)は全量南洋材を活用する合板メーカー。生産品目は型枠用や構造用はほとんどなく、各種二次加工建材に用いる台板を主に生産する。薄物3層南洋材合板を安定的に生産・供給できる国内メーカーは同社のみであり、輸入合板ではまかなえない高品質製品を短納期で供給している。
複合型のエコ合板で実績
新潟合板振興(新潟市、平野良昌社長)の月間合板生産量は約4800立方㍍。うち800立方㍍が表裏面に南洋材、中板に国産材杉を用いる複合合板(商品名=鹿印エコ合板)が占めている。
針葉樹合板のブランドメーカー
林ベニヤ産業(大阪市、内藤和行社長)は、日本における針葉樹合板のパイオニアとして知られている。1982年に建設した舞鶴第2工場が国内初の針葉樹合板工場であり、他社が追随したのは十年も後である。
シナ合板、受注生産で厚板に活路
札鶴ベニヤ(北海道斜里郡、山本忠顕社長)はシナ合板と複合床板他を製造する建材メーカーだが、シナ合板では表面材のシナを始め芯材やランバーコアに貼り付ける単板も南洋材丸太から製造する唯一の一貫メーカーである。
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